
こんにちは。
2023年5月から、0歳からの頭のかたちクリニック関西で勤務し、今は土曜日に外来担当をしている辻口です。
今回は、乳幼児の頭の変形において、頭部単純X線撮影(3方向:正面・側面・軸位)が、病気の診断として有効かどうか、またその安全性についてお話させて頂きます。
乳幼児の頭の変形においては、頭蓋縫合早期癒合症(病気による頭の変形)と位置的頭蓋変形(病気ではなく向き癖による頭の変形)との鑑別がとても重要です。乳幼児の頭の変形は大部分が位置的頭蓋変形ですが、頭蓋縫合早期癒合症の病気を決して見落とすわけにはいきません。向き癖による頭の変形そのものが脳の発達に悪影響を与えるという明確な証拠はありませんが、一方、頭蓋縫合早期癒合症の場合は、頭蓋内圧亢進、精神運動発達障害等を予防するため、手術になる症例が多く見られます。
0歳からの頭のかたちクリニックでは、3D撮影の結果、正常頭蓋形態のお子様については、X線撮影は行っておりませんが、頭の変形を認めるお子さんについては、基本的に頭部単純X線撮影(3方向:正面・側面・軸位)を行い一次スクリーニングしています。この時点で、頭蓋縫合早期癒合症の疑わしい所見があった場合には、総合病院・大学附属病院等の形成外科・小児脳神経外科を紹介受診していただき、より詳しい検査(CT撮影など)を実施するようにしています。
お父さん・お母さん方は、X線撮影となると放射線被ばく量を心配されると思います。頭部単純X線撮影(3方向:正面・側面・軸位)の放射線被ばく量は、撮影条件や装置によって異なりますが、おおよその目安は次の通りです。
●実効線量:約0.02~0.05mSvミリシーベルト
(20~50μSvマイクロシーベルト)
日本人が自然界から1年間に受ける放射線量が、約2.1mSvと言われていますので、乳幼児の頭部単純X線撮影の被ばく量は、かなり少ない線量で、安全だと考えられます。
頭部CT(約1~2mSv)は、頭部単純X線3方向(0.02~0.05mSv)の20~100倍程度の放射線量になります。ただし、CTが必要と判断される状態では、正確な診断による利益が、被ばくによるリスクを大きく上回ると考えられますので、CT検査が必要となります。
頭部単純X線撮影(3方向:正面・側面・軸位)は、頭蓋骨骨折の評価や頭蓋変形(斜頭症・短頭症・長頭症・頭蓋縫合早期癒合症など)の診断には、非常に有用な検査だと考えられます。
0歳からの頭のかたちクリニックでは、位置的頭蓋変形の矯正治療を行うだけではなく、これまで見落とされがちだった頭蓋縫合早期癒合症の患者さんを早期に診断し、より低侵襲な手術でより良い術後結果が得られるように、これからもスタッフ全員で努力していくつもりです。
