当院の研究の成果をご覧ください。第1報:誕生月と頭蓋変形の程度(季節と頭蓋変形の関係)

2022年4月から、0歳からの頭のかたちクリニックでヘルメット矯正治療に携わっております西巻です。
2022年3月に定年で退職するまでに大学病院で新生児や小児の診療をしておりました。新しい医療に関わることができ、嬉しく思います。

私たちは「頭蓋変形をきたす危険因子には何があるのか、頭蓋変形をきたさないために何をしたらよいのか」を研究しています。
今日は当院での研究で「頭蓋変形をきたす危険因子」として「誕生月と頭蓋変形の程度」について紹介します。

まず、説明しておくことがあります。
それは我々日本人のビタミンDを調べた結果です。
男女別、年齢別にみてもほとんどの日本人ではビタミンD不足が分かっています。
そしてビタミンD不足は冬季に強い結果でした(2019年から2020年に東京で健康診断を受けた20歳から75歳以上までの年齢の5,518名のデータです。2023年にThe Journal of Nutritionに掲載されました)。
当然、お母さんもビタミンD不足です。
そして生まれるまでの赤ちゃんはお母さんの影響を受けますので、赤ちゃんの半分もビタミンD不足の状態であり、それも冬季生まれの赤ちゃんで強いことが分かっています(順天堂大学病院小児科から報告されています)。

その理由は、冬季は紫外線が弱く皮膚で生成されるビタミンDが少ないためです。
ここで月別の紫外線量を見てみましょう。気象庁のホームページから見ることができます。

その理由は、冬季は紫外線が弱く皮膚で生成されるビタミンDが少ないためです。
ここで月別の紫外線量を見てみましょう。気象庁のホームページから見ることができます。


日最大UVインデックスを1997年から2008年までの期間について平均した月別グラフ(東京)

東京のデータを見ますと、確かに11月、12月、1月はUVインデックスが低いです。
また、その時期は寒いために赤ちゃんが室外に出る機会も少ないでしょう。

それらをふまえて、後頭部の斜頭症のみを認めた児で検討しました。
結果は、冬季である10月から3月生まれの赤ちゃんは後頭部斜頭症の程度が強いことが分かりました。
斜頭症の程度には誕生月の差があり、その発症にはビタミンDの不足が関わっているのではないかと考えています(このデータは学会で正式に発表したのちにこのブログで再紹介します)。

では、どうしたら良いでしょうか。
まず、お母さんもビタミンDを補う食事をなさってください(それは母乳にも好影響です。妊娠前からなら尚更良いと考えます。何より健康な生涯がおくれます)。
そしてお母さんも赤ちゃんも浴びることが薦められます。
ではどのくらい日光にあたればよいのでしょう。
国立環境研究所と東京家政大学の研究チームによる研究が参考になります(ホームページから手に入りますので掲載します)。
研究チームは成人が健康な生活を送るのに足りる1日のビタミンD摂取量を体内で生成するとした場合に必要な日光浴の時間を報告しています。
両手・顔を晴天日の太陽光に露出したと仮定した場合、紫外線の弱い冬の12月の正午では、那覇で8分、つくばでは22分の日光浴で必要量のビタミンDを生成することができるものの、緯度の高い札幌では、つくばの3倍以上の76分日光浴をしないと必要量のビタミンDを生成できないとされています。
東京でしたら、夏なら涼しい午前中に5分、冬なら暖かい日中に20分ほど日光にあたってください。


筑波研究学園都市記者会配布資料より(2013年8月30日)
ビタミンDを生成するのに必要な、各地・各時刻での日光照射時間

しかし、日光を浴びることだけで頭蓋変形が避けられることはないでしょう。
位置的頭蓋変形をきたさないためには、赤ちゃんの頭の同じ部位がベッドに接地し続ける時間を短くすることです。
抱っこをする時間を増やすことは有効です(生後3〜4か月頃までは横抱きが良いです)。赤ちゃんが自分で頭や体を動かすようになる生後3〜4か月頃まで注意を払いたいです。

私たちは「頭蓋変形をきたす危険因子には何があるのか」を研究し、「頭蓋変形をきたさないために何をしたらよいのか」を提言することを今後も続けてまいります。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。

表参道神宮前クリニック 表参道神宮前 院長 西巻 滋


画像をタップすると西巻医師のインタビュー動画を見ることができます